伝統技術を継承する㈱川島セルコン

京都・川島セルコン様の工場見学に行って来ました!

こんにちは!
ジーンズソムリエ&Brand producer雜賀です。

先週末、京都にある㈱川島セルコンの工場見学に行って来ました。

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『川島セルコン』といえば、緞帳!

歌舞伎座や宝塚大劇場、国立劇場等、日本が誇る大舞台を飾る緞帳を手掛けています。

 

 

最初に、緞帳を織る工場を見学させて頂きました。

 

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                      (川島セルコン様パンフレットより)

これらは『綴織り』という技法で織られています。
特徴としては、縦糸が細く、ほぼ横糸で柄を表現します。横糸は、6本の違う色の糸を撚って微妙な色を出しながら描いていくそうです。
一枚の緞帳に500色以上の色を使われる事もあるそうです。

 

次に有名なのは、主に絹を用いた帯。その中でも「本袋帯」は、表・裏を同時に筒状に織り込むという技法を用い、均一の厚みに織り上げた帯は有名です。細い絹糸で繊細に織り上げるので、ベテラン職人さんでも1日2ミリしか織れないそうです。

 

工場内は撮影厳禁ですので、いくつかパンフレットより画像を抜粋させて頂きました。

 

 

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                      (川島セルコン様パンフレットより)

 

 

次に、ジャガード機の工場を見学させて頂きました。ジャガード織とは???

ここでは主に、ポリエステル製のカーテンやクッションカバーを織っています。
因みに、川島セルコンは、日本で最初にカーテンを製造販売した会社だそうです。畳の部屋に、障子の代わりにカーテンを用いたショールームを作り、広めたそうです。

 

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これはショールームに飾られている商品。高級ブランドを手掛けておられるので、織る速度はかなり低速。これだけ柄も複雑で色遣いも繊細な物が多く、川島セルコンならではの技術と品質を活かして生産されていました。

こちらも、工場内は撮影厳禁!工程はご想像にお任せ致します(笑)

 

京絵師 伊東若冲の間が再現されていた!

最後に、川島セルコン様が所有する織物文化館を拝見しました。

創業者 初代川島甚兵衞と、その子 二代川島甚兵衞が、世界各国から蒐集した染織品(上代裂・名物裂・中国裂・コプト裂・各種装束、衣裳他)約8万点、国内外の古書約2万点、創業以来製作してきた製品の試織裂、原画類が約6万点、合わせて16万点を所蔵されています。

なかには、正倉院宝物と同時代に染織された飛鳥・奈良時代の上代裂や、16~17世紀のペルシャやインド産の名物裂など、織物研究に貴重なコレクションもあります。

また、明治宮殿や日本初の豪華客船など、内装織物を納めた著名物件の内装図面や織物のデザイン画など、今は無き物件の当時を知る重要な手がかりとなる資料も所蔵しています。この頃の政府は、金に糸目を付けないので、全て絹で織られたものばかり。壁紙もソファーも全て凝った柄のデザインばかり。

 

中でも一番驚いたのは、伊藤若冲の絵が展示されてた事です!
実は、川島織物は、1904年(明治37年)セントルイス万国博覧会に「若冲の間」を出展されていたそうです。
若冲の絵は、生誕300年という事で、今年大変注目されていて、錦市場にも展示されています。

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点数も多く、大変見応えありました!来春まで展示されていますので、この機会に是非、一度ご覧ください。

 

川島セルコンの見学を終えて・・・。

綴織り・本袋帯・パイルジャガード等、多くの伝統技術を継承して、今もなお作品を作り続けている川島セルコン。
創業してから、いくつもの危機を乗り越えてこられました。

宮内庁に納める緞帳を製作している最中に、第一次世界大戦が勃発し、ドイツから染料を入手出来なくなったり、貴重な商品を輸出している時に火災にあったりと、世界情勢の影響を大きく受けながらも存続されてきたお話を聞き、改めて継承する事の難しさを知りました。

川島セルコン様は、その時代に合わせて独自の技術を用いて新製品を開発する部署と、伝統技術を継承する為、人材育成にも取り組みながら何百年という間、安定した品質維持をされる部署を分けて存続されています。正に、『攻めと守り』です。
何処を取っても素晴らしい企業だと思います。

 

独自の価値を自ら伝えていく時代です。この時代に合わせて伝えていく事が急務です。

 

伝わってないのは、存在しないのと同じです!