話題の本「誰がアパレルを殺すのか」を読んで、企画力低下を痛感。

こんにちは!

ジーンズソムリエ&Brand producer雜賀です。

 

『誰がアパレルを殺すのか』を読み終えて。

強烈なダメージを与えるタイトル。正直、テンション下がりそうで、買ってしばらくは読む気がしませんでした。(笑)

 

 

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この本の前半に記されている内容は、私が正にWORLD時代やっていた事でした。ただ、こうなる事は当時現場にいた人には、とっくにわかっていました。「おかしい。もう勢い止まる。もうあかんな。」現場ではリアルに感じていました。

 

当時、SC展開急増し、出店の嵐でした。

「カッコいい服なんかいらん。売れる服くれ。」

そんな決まり文句が生まれる位、売上重視の商品展開。店頭に投入すると、一週間で前売れ売上情報が発信されるので、週次会議で売上分析が始まり、一か月後にどの品番を何枚追加するかを決めていました。

この会議で、この売上分析こそが私の業務。つまりは、自ブランドほぼ全部、自分がデザイン決定しているので、私にとっては反省文でした(笑)

「週売り2000枚を見込んでいましたが、気温が下がらず、目標の95%となってしまいました。」

てな感じ。(笑)おかげ様で感覚というか、嗅覚は研ぎ澄まされて、商品を見ただけで「これは、¥3900なら5000枚売れる!」「このツラなら¥9800でも勝負出来る!」みたいな予測から「この商品はこれと組み合わせてこう売る!」みたいな戦略まで・・・(笑)

 

商品は自動販売機で売れる物を開発し、こういうスタイリング戦略が当たっても当たり前とされていた企画開発部は、全然楽しそうではなかった。大好きな洋服の仕事をしているのに、大きなプレッシャーしか感じられませんでした。データ分析とちょっとした遊び心の落としどころを模索しながら開発していました。

 

 

 

 

 

 

微々たる違いですみ分けるトレンドキーワード

【トレンドキーワード】と呼ばれる【売れ筋の共通点】は、ほとんどのブランドが同じでしたが、ちょっとした〖こなし〗は違います!!ここが難しいところ。同質化と言われていますが、隣のブランドの同じキーワード商品を置いても、それは売れません。

例えば、【レースキャミ】が流行っていたとしても、綿レースなのか、ポリエステルレースなのか?配色使いなのか、同色使いなのか?Vなのか、直線なのか?・・・。これは、意外に重要なポイントなんです。綿レースキャミが得意なブランドが、ポリエステルレースキャミを投入してもビックリするほど売れません。

その微々たる自ブランドの個性をマニュアルにして欲しいと言われた事があります。勿論、しませんでした(笑)さすがにそれは却下です。企業デザイナーは、そういう事を自分で掴んでこそナンボ!!しかも、そんな事マニュアル化しても、例外だらけで参考になりません。

 

 

すると、もっと凄いのが飛び出しました(笑)

「君がいなくなっても今の売上が保てるようなマニュアル作成して欲しい。」

そう言われ、またまた却下(笑)。こんな大役を任せて頂いた事は、とても嬉しく感謝しています。ですが、その言葉の意図に、違和感ぬぐい切れず…。私は、この指令に軽く殺されました(笑)

 

アパレル大不況には、生産国の問題・売り場の問題・リーマンショック…いろんな要因があると思います。

私の視点から見ての一番の原因は、企画開発する人が楽しんでない事だと思います。コスト重視で、妥協案ばかり求められ、そぎ落とされたデザインばかり。企画開発なのに、企画する事、考える事をやめてしまったのだから。企画力低下!これが最大の原因。きちんと物づくりが出来る人はもう数少ないと思います。特にニットデザイナーは希少。

 

そんなこんなで色々ありましたが、やっぱり私は、洋服を創るのが好きなので続けています。本当に有り難い事だと思います。

これからは、これまでの貴重な経験を活かして、自分にしか出来ない事を、思いっきり楽しんでやっていこうと思います。